椿の実
顔師 いのまた雅人
街路樹の椿に実が生っているのを見つけました。
青々としていて、ピンポン玉くらいの大きさでした。
ネットで調べると、この実がやがて赤く色づき、皮が割れて中から真っ黒な種が5~6個出てくるそうです。
9月の初めにそれを採取して絞ったものが椿油です。
我々の仕事には、椿油は欠かせません。
油墨、油紅、茶墨の材料になります。
これらの墨で眉を引いたり、眼張りを入れたり、隈取をしたりします。
油墨は、蝋燭や植物油などを燃やしたときに出る油煙(習字の墨の原料)に椿油を混ぜて作ります。
油紅は、本洋紅に椿油を混ぜて作ります。
茶墨は、油墨と油紅を混ぜて作ります。
また、コットンに椿油を染ませたものをトロと呼び、筆に少量付けて油墨や油紅を溶くときに使ったり、お化粧を落とすときのフキトリに使います。ものすごく良く落ちます。
香りも良く自然のものなので人に優しく、昔は、髪油としてご婦人には欠かせないものでしたが、唯一つの難点は、値段が高いということです。
今では、代用品として水油(昔の髪油)を使ったりします。
顔の写真
手古舞芸者